【レア植物】接ぎ木編

みなさん、こんにちは。昨年から何度かに分けてご紹介した観葉植物編ですが、前回は「挿し木」についてお話しました。挿し木は、日光を求めて間延びした枝などを樹形を整える目的で切ったり、生い茂った葉を刈ることで株元や幹、下に生えてきた新芽に日光や風通しを与えたりする目的で切ってしまった枝を捨てずに、再度発根を狙い植物を増やす目的で行うものでした。成長期のこの時期は1週間もすれば「カルス」と呼ばれる、人間で言うなら「かさぶた」のようなものができ始め、そこから細胞分裂が始まれば根や茎が生えてきます。今日は挿し木に似た言葉で「接ぎ木」のご紹介をします。

接ぎ木とは?

接ぎ木とは、同じ植物で品種の違うもの、あるいはまったく別の植物をつなぎ合わせ定着させることを言います。一般的には台座(土に埋まっている方)になる植物を台木、台座に定着させる植物を挿し穂、穂木などと呼びます。

  • 病害虫に強くなること
  • 開花や結実までの期間の短縮
  • 1本の木にいろいろな品種が成る
  • 1本でも収穫できるようになる
  • 発根しにくい植物を増やすことができる

などなど、いろいろな効果があるため、元気な観葉植物を育てるのは必要になります。

←こちらはパキラの台木に実生株での育成が難しいミルキーウェイという斑入りのパキラ品種を接ぎ木したものです。台木の皮を1部めくり、そこに穂木となるミルキーウェイの枝を挿し、定着さえます。パキラだけでなくガジュマルなども幹の太いニンジンガジュマルに葉が小ぶりで密なセンカクガジュマルを定着させたものなどがあります。

また、みなさんが日頃食べている野菜や果物ももしかすると接ぎ木苗から育ったものかもしれません。手間や技術が必要な分、種から育てた苗よりは高いですが、病害虫に強く育てやすかったり、実が良く成ったり、甘かったりするメリットがあり、ホームセンターでも「接ぎ木苗」などと書かれて普通に売られています。

なんでもかんでもくっつければ良いと言うものではないので、初心者が始めるにはハードルが高いかもしれませんが、「接ぎ木」という方法があることを知っていれば園芸店などで野菜や果物の苗を見たとき、観葉植物を購入するときなど、それがどういった種類・品質なのか判別することが可能になります。

レア植物、ミルキーウェイのハイドロカルチャー

さて、ここからはパキラのレア品種「ミルキーウェイ」を手に入れましたので、家の中で清潔に育てることができるハイドロカルチャー(水耕栽培)に挑戦してみます。ミルキーウェイは、鹿児島県指宿市のタイチ園芸さんが国内で唯一の生産者となる希少な品種です。(もちろん、挿し木などで増やしたりできるため、フリマアプリなどでも希少種として販売されています。)

今回勉強したとおり、このミルキーウェイも通常のパキラの台木の上にミルキーウェイの枝を接ぎ木したものです。ミルキーウェイを実生(種から育てる)のは非常に困難なので、穂木を接ぎ木して斑入りのミルキーウェイを楽しみます。

上手に育てれば成長点からにょきにょきと新しい枝葉が生えてきますので、剪定して台木に接ぎ木するのも良し!あるいは水耕栽培にして根を生やし、新たに挿し木で増やすのも良しです。

手に入れたミルキーウェイの紹介

(左)60cmほどで比較的台木がまっすぐな4株のミルキーウェイと(右)高さ100cm、幹も10cmに迫る大型の3株のミルキーウェイです。「株」は接ぎ木の枝の数です。

準備編

過去の記事を読んでくださったなら準備編はもうお手の物ですよね!

  • 透明の容器(ハイドロカルチャーは土植えと違い、水を貯めて育てますので水分量が確認できるよう透明の容器をお勧めします)
  • 植え込み材(土=主に堆肥は栄養があるぶん、Gやナメクジ、クモなどが卵を産み湧く可能性がありますので、ハイドロカルチャーの埋め込み材は熱処理をされた粘土、瓦、鉱物などを原料としたものを使います。ホームセンターでいろいろと売っていますので好きなものをお選びください。)
  • 根腐れ防止剤(水が抜けない容器ですので、根腐れを防止するために底に敷きます。ゼオライトやミリオンA、イオン交換樹脂材などで探してみてください。)
容器:落としても割れないポリカーボネイト製のもので「フラワーベース」とも呼ばれます。
植え込み材:今回は三浦園芸さんのリサイクルコーン(色:モス)を選択しました。
汚れを落とすために水洗いしてクッキングペーパーで余分な水分を取ります。
見た目に均一感を出すためにふるいにかけて細かい埋め込み材を排除します。
ミルキーウェイを鉢から出し、丁寧に土を取り除きます。根を傷つけたり、抜いたりしないようにしましょう。根がしっかり張り付いている場合は、水圧などで徐々に落としましょう。
名前は知りませんが、土の中からムカデの小さいやつやカメの甲羅を背負ったような虫、小さいG(コオロギ?)が出てきました。これを家に持ち込むと想像するとゾッとします。

植え込み開始

ここまで準備できたら容器に①根腐れ防止剤、②植え込み材、③植物の順に入れていきます。植え込み材は位置を調整しながら少しずつ入れて行ってください。底すぎると根が常に水に浸かっている状態で根腐れを起こしやすくなり、逆に底から遠いと十分に水分が吸えず水枯れすることもあります。ハイドロカルチャーは容器の下2cm程度に水を貯めますので、そのあたりに根の先端がくるように調整してみてください。また茎の重みで根がつぶされると痛むので片手で植物を持って少し浮かせた状態で、もう片方の手で植え込み材を流して、根の一本一本に水分と通気口が生まれるように置いてください。

根腐れ防止剤としてイオン交換樹脂材を配合したスーパーミリオンAを底に敷きます。
根腐れ防止剤の上に植え込み材を少し配置します。ここで根の位置を決めます。
根を押しつぶさないように片手で持ったまま、もう片方の手で植え込み材を流していきます。
最後まで流し込みます。隙間ができた場合は、竹串などを使って攪拌してみてください。

完成

植え替え後は根を触ったり、環境が変わる事で植物もストレスやダメージを受け、弱くなっていますので葉水(葉っぱに霧吹きで水をかける)をたっぷり行い、植え込み材の方には水を与えないようにしてください。(人によって、あるいは植物によって植え替え後にたっぷり水を与える場合もあります。)

屋内へ

抗菌処理した植え込み材であれば、きちんと管理すれば虫が卵を植え付ける心配はありませんので家の中に入れても心配ありません。窓を閉め切った部屋だと空気が滞りますので、定期的な換気と水の管理と葉水をしっかりしましょう。ただし、植え替え直後は植物も弱っていますので、直射日光を避けて日陰で1~2週間ほど様子を見てください。1~2週間ほどたって問題なければ、カーテンのレース越しの日光を当てて光合成(1日6時間程度が目安)をさせてあげてください。パキラであれば乾かし気味でも育てられますので、水はカラカラになってから2~3日置いてから、底に2cm程度貯まるぐらいあげてください。冬場は冬眠しますので1か月に1回でも問題ありません。

部屋の中に入れました。園芸店や屋外で見るより存在感があっていい感じになります。ふとしたときに目に入る位置に緑を置いておくと癒しになりますのでお勧めです。

またパキラは「発財樹」とも呼ばれ、風水的にも「仕事運」「商売繁盛」「金運」の効果や、葉が下を向くことから「陰の気」を発し気分を落ち着かせることから「恋愛運」「対人運」などの効果、葉がとがっていることから悪い気を静める「邪気除け」など様々な効果があると言われています。リビングや勉強部屋、玄関など置く場所や置く方角にもよって様々ですので、「パキラ 風水」などで調べてみてください。

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