オリーブ鉢植え

みなさん、こんにちは。これまで家の中でハイドロカルチャーという虫がわかない観葉植物の育て方を何回かに分けてご紹介してきましたが、今回は庭木に手を出します。ただ、庭に直植えするのはとても大変なので、大型樹木(2~2.5m)を鉢植えで庭に飾りたいと思います。

選んだ樹木は、最近、観賞用としても庭のシンボルツリーとしても人気のオリーブです。

オリーブの種類

オリーブは全世界で1,500を超える品種があるとも言われ、枝や葉の形だけではプロでさえも見極めるのが難しいほどです。ホームセンターや園芸店などで観賞用で売られてる小ぶりなオリーブにはルッカやミッションなどの品種名が書かれていますが、あれらは挿し木などで増やしているため親株(品種)がはっきりしているものですので間違いないと思いますが、農園や造園屋などでは品種で管理していないことも多く高さや樹形、幹の太さや経過年数などを元に価格を決めて販売しているようです。

さて、オリーブをカテゴライズしようとすると枝・葉の付きぶりから大きく2つに分かれます。1つ目はミッション、シプレッシーノなど枝がまっすぐ空に向かって成長する「直立型」、2つ目はルッカやマンザニロ、ネバディロ・ブランコのように横に広がって成長する「開帳型」です。直立型は上に上にまっすぐ伸びるため放っておいても形が整うので管理が楽で、開帳型は横に広がるため枝が暴れやすいので剪定が欠かせませんが、力強くシンボルツリーとしても見栄えがよいメリットがあります。

またどちらの場合もオリーブの葉は鋭く上に向いて付くため、「邪気払い」や「魔除け」など風水的には「平和の象徴」とされていてとても縁起の良い木でもあります。

葉が上を向くという事は、大きなオリーブの木を正面から見ると、葉の裏を見ることになり、オリーブはしばしば「シルバーリーフ」と呼ばれるように、葉の裏がシルバーの品種もあり、表の緑の葉と裏のシルバーのコントラストが風に揺れるだけで、お庭が洋風(地中海のような)に見える特徴を持っています。

←参考資料

オリーブは表面と裏面で色が異なります。

上を向いているため、手前の葉は裏面が、奥の葉は表面が見え、風にそよぐと緑とシルバーがほどよく見えるので、透かし剪定(枝や葉に風の通り道を作るように)をするのが人気です。

今回選んだひなかぜは、裏面がシルバーではなくブラウンがかっており、また別の意味で良い色合いを楽しめます。

ただひとつ注意が必要なのは、オリーブは根が浅い(=地中深く張らない)ので若い苗木や細い木は、台風などの強風で倒れたり、ぽっきり折れる事もあるので、地植えの場合は支柱を立てて括り付けたり、鉢植えの場合は家の中や倉庫など風の影響を受けないところに避難する必要があるので頭の片隅にでも置いておいてください。

準備

特徴をおさえた上で、さっそく作業に取り掛かります。今回鉢植えに用いるのは、2.5m級のひなかぜ(品種名:織姫)で、50cm×50cmのキューブ鉢に植えます。

ひなかぜ(織姫)は、比較的新しい品種で、耐暑性、耐寒性にも優れ日本の気候でも育てやすいことと、成長が通常のオリーブの1.5~2倍ほどと生命力にもあふれているので、初心者にも育てやすい特徴があり、また直立型で枝が暴れないので剪定も気にせずがっつり行けます。簡単なポイントさえ押さえれば「オリーブの設定に失敗なし」と言われています。

必要なのは

  • オリーブ苗(小さいものならホームセンター、大きいものなら園芸店、樹木なら造園屋)
  • 鉢(屋外に置く場合、耐暑性、耐寒性のあるもので、風による転倒防止のため重たいもの、そして根腐れしないよう水が抜ける穴があるものがおすすめ)
  • 鉢底ネット
  • 鉢底石
  • 腐葉土

鉢は丸や四角などの「形」、陶器やプラスチックなどの「素材」、縦・横・高さなどの「大きさ」、黒、白、グレーなどの「色」など様々なものが売られていますが、いずれの場合も水が溜まると根腐れを起こして枯れてしまうので、水が抜けるように穴が空いているモノを選んでください。もし穴が無ければ自分でキリや釘などで開けてください。そして庭を汚したくない場合は、水を受ける受け皿もサイズにあったものをご用意ください。

鉢底ネットの効果

鉢底に鉢底ネットを適切な大きさに切って敷き詰めます。使わなくても問題ありませんが、使う理由は大雨などで鉢内に水が大量に入った場合、鉢底に空いた穴から中の土が流れ出ていくことを防ぐこと、そして逆に底穴からGやナメクジ、昆虫の侵入を防ぐ効果があります。特にコガネムシは、底の穴から入り幼虫を産み付け、幼虫が根っこから侵入して内部から幹などを食い荒らし木を枯らしてしまうため、対策をしておいた方が良いと思います。また鉢底はあふれた水で湿度が高く乾きにくいので、鉢をどけたら大量のナメクジがいて絶叫!なんてこともありますので、虫嫌いな人は必ずやっておきましょう。

底石の効果

底石については賛否あり、必要ないという専門家もいらっしゃいます。木の根っこは水分を必要とすることは多くの人に知られていると思いますが、実は呼吸用の通気性や換気も必要になります。鉢底に大きめの石を敷き詰めておけば、排水性を良くしつつ土砂の流れ出しを防ぎ、通気性も良くし空気の入れ替え効果が生まれます。鉢の中が土だけだとどうしても水分が溜まりがちになり、根っこが常に水に触れている状況だと樹木によっては根腐れを起こして枯れてしまいます。一方で最近では、プラスチック以外の鉢の開発も進み、木製プランターや素焼き(テラコッタ)、フェルトのポットも売られています。これらの素材は目には見えない極小の穴が空いていたり通気性に優れている為、鉢全体で空気の入れ替えができることから側面で鉢石と同等の効果を生むため、「底石は不要」というお話になります。ただ単にいるか?いらないか?だけでなく、素材や理屈も含めてご自身の環境に合わせてご準備ください。

ちなみに私が用意した鉢は、オリーブは日光を好むため太陽光がガンガン当たっても色あせやひび割れが起きにくいよう耐暑性が強く、さらに雪に備えて寒冷地仕様のファイバーポリストーン製(ガラスを溶かし、引っ張ってシート状にしたグラスファイバーを何層にも重ねることで軽量で高い強度を持ち合わせた複合材料)のものにしました。マグナスキュビの幅50cm×奥行50cm×高さ50cmのものになります。

↑鉢植えの断面図。底に貯まった水に根に直接浸からないように植えます。

鉢の位置を決めたら鉢底ネットを敷き詰め、その中に鉢底石を敷き詰めます。私の用意した鉢(50cm×50cm×50cm)では、1つで15Lの石を使いました。今回2鉢に植えたので合計30L分の石になります。

石を敷き詰める時には微粉が舞うのでマスクを着用することをオススメします。

このあと大型プランターに土が入るととても動かせないほどの重量になるので位置決めはこの時点でしっかり決めておきましょう。

石を敷き詰めたら根っこの大きさと位置(見たい向き)を確認しながら土を入れていきます。土を入れながら写真撮影ができなかったので、写真はありませんが、底石の上にある程度土を入れたら向きと高さを確認して1度木を入れてみて、その上から土を流し入れてください。このとき深めになってしまっても後から大量の水を流し入れ隙間を無くしますので、そのときにゆらゆら樹木を動かして底に底に土を入れこめば高さ調整が効きますので安心してください。

オリーブの土

オリーブは中性の土を好みますのでpH7.0前後の土をホームセンターなどで購入してください。おそらくどこのホームセンターにも「オリーブの土」「オリーブの培養土」なるものが売られていると思います。見つからない場合は果樹・花木の土でも代用できますし、自分で作る場合は野菜用の土と鹿沼土の小粒のものを混ぜ合わせると良いでしょう。

ちなみにブルーベリー(また今度アップします)を植える場合は、酸性の土を好みますのでph4.5ぐらいになるようにピートモスと鹿沼土を混ぜ合わせます。このように樹木に合わせて土を用意してください。

向き決めと高さ決め

樹木は見る角度や方向によって表情を変えます。もちろん、大きく育てば枝ぶりも変わり、剪定もするので表情はどんどん変わっていきますが、基本となる幹などは言うほど変わりませんので、家の中から見たとき、あるいは外から通りを歩く人が見るとき、どの位置での見栄えを重視したいかで向きを決めるようにしてください。

私は外から見て美しく見えるような向きにしました。飛び出した枝などは剪定で切り揃えます。
植え替え直後はウォータースペースにたっぷりと水を与えます。鉢からあふれ出すぐらいに与えてもOKです。

向きと位置が決まれば、最後に高さ調整です。ただ、上から土を流し入れただけでは鉢の中には隙間がうまれているかもしれません。あとで大雨で地盤沈下が起き幹が傾くと大変ですので、ある程度土を入れ終えたら大量に水を流し入れ、水の力で隙間を埋めていきます。このとき樹木をゆらゆら動かしながら隙間がなくなるように攪拌しつつ高さ調整をしてください。

最後に腐葉土で保湿

ハイドロカルチャーの時に説明しましたが、樹木は根っこから老廃物を排出します。そのとき土に含まれる微生物や菌などがその老廃物を分解することで共生関係を築いています。腐葉土は落ち葉などの枯れ葉をミミズなどの昆虫が長い時間をかけて分解した土のことでフカフカで良質な微生物の棲む土のことを言います。腐葉土そのものに栄養があるわけではありませんが、腐葉土は「通気性」「保肥性」「保水性」に富んでいるため、上に敷く(混ぜ込むともっと効果を発揮します)ことで土壌の改善効果が見込めます。向きや位置が決まったら腐葉土をしっかりと敷き詰めてください。色も黒色なので鉢植えにマッチし引き締まります。

完成

今回植えたオリーブは中国で新たに品種改良された比較的若い品種(オリーブの歴史は6000年)で日本の気候にもマッチしていますが、本来のオリーブはスペインやイタリアなど地中海性気候(夏は雨が少なく乾燥)が適していて乾燥には強いため、地植えの場合は水やりをしなくても雨だけで良いという専門家もいるぐらいです。ただ鉢植えだと土の量が少ないのと水が抜けてしまいがちですので定期的に土の乾燥具合を見て水やりをしましょう。

何事にも「適量」が大切なのは言うまでもありませんが、オリーブは乾燥に強いとはいえ、生育旺盛な樹木ですので大きく健康に育てるには水やりが重要です。冬には休眠期に入るため水やりはほぼ必要ありませんが、最近の夏場のように40℃近くまでなると土の具合によっては早朝と晩に1回ずつ水やりが必要な場合もあります。そのとき注意が必要なのは、夏場のホースは数分放置しただけで中の水がお湯になり根っこにダメージを与えるので水をかける前にホースの中の熱い水を出し切ることです。そして早朝と晩を指定したのは昼間に水を与えると鉢の中に貯まった水が直射日光で温められてしまい根っこが痛むためです。また、昼間に葉水をするとレンズ効果で葉焼けするという話もよく耳にしますが、専門家の間でも実際するのか?しないのか?がよく討論されています。ただ、信ぴょう性のほどは分かりませんが、植物も生き物ですので、世の中一般に悪いとされていることはしない方が良いと思いますので、大事に育ててあげてください。

次回、オリーブの強剪定は休眠期の2~3月に良いとされていますが、挿し木目的の弱剪定なら生育旺盛なひなかぜであれば問題ありませんので、挿し木と発根の様子をアップしたいと思います。

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